作品名の後の数字は「男:女:性別不問」の比率になっております。

[4:1:1]となっていたら

・男性4人、女性1人、男女どちらがやってもいい役が1人

という感じです。

あくまで台本選びのガイドなので、これを必ず守らないといけないというものではないのでご了承ください

※上演の際は必ず「利用規約」をお読みください

ブレーメンのナイトバー [4:1:0]

0:とある郊外のバーに顔を真っ赤にして酔っぱらった蟹江が入ってくる。カランコロンという音に合わせて舞台が明転する。

0:舞台上手にはバーカウンターがあり、内側では飛鳥がグラスを拭いている。カウンターには背広を着た犬塚が背を向けて酒をあおっている。

0:舞台下手にはグランドピアノの据え置かれた小さなステージがあり、猫宮とローバーがせっせと何かを準備している。

0:おぼつかない足取りで蟹江はふらふらとカウンターの椅子に座り、うつむいてしばらく黙り込む。

蟹江:ママ、マティーニを

飛鳥:お客様、ごめんなさいね、まだ開店前なのよ

蟹江:ああ、そうだったんですか

飛鳥:そうなの、ごめんね

蟹江:残念・・・

0:ふらふらと立ち上がり、蟹江は退店しようとするが、ふと立ち止まって

蟹江:ん?・・・あれ?ママ

飛鳥:はいはい、どしたの、出口はあっちよ

蟹江:いやいや、そうじゃなくて

飛鳥:・・・なあに

蟹江:あの、あそこの人は?

飛鳥:ああ、あの人はお客さんよ

蟹江:お客さんいるんじゃないですか!

飛鳥:あの人は特別なの、うちオープンは19時からだから、あとそうねー、30分くらい時間つぶしてきて頂戴、隣ゲームセンターだから

蟹江:なんですか特別って・・・30分くらいならいいじゃないですか・・・

飛鳥:あらあ、でもねえ、今準備中なのよ。ほら見える、あそこ、準備してるでしょ、お客さんに見せるものじゃないから

蟹江:あの人はいいんですか?

飛鳥:あの人は特別だから

蟹江:お願いしますよママぁ

飛鳥:そうはいってもねえ・・・

蟹江:ほかに行くお店ないんですって

飛鳥:うーん

蟹江:私もこれから、このお店の特別なお客さんになりますから!

0:その瞬間、ローバー、猫宮、飛鳥の動きが一瞬止まる。短い沈黙の後、犬塚が持つグラスの氷がカランと音を立てたのをきっかけに全員の雰囲気が戻る。

飛鳥:・・・そう?

蟹江:うんうん、絶対常連になるから

飛鳥:そこまで言われちゃあしかたないわね。座んなさい。

蟹江:ありがとうママ

飛鳥:とりあえずはい、おしぼりと、ナッツね

蟹江:ありがとう

飛鳥:注文、マティーニだったわよね。好みはあるかしら?

蟹江:好みって?マティーニはマティーニなんじゃないの?

飛鳥:マティーニにもいろいろあるのよ、ウォッカで作るボンドマティーニ、オレンジとかオリーブ油を加えればダーティーマティーニ、強いのがお好みならドライ・マティーニがおすすめだけど、お兄さんはやめといた方がよさそうね

蟹江:どうして?

飛鳥:どうしてってあなた、もうべろべろじゃない

蟹江:べろべろじゃないよ・・・

飛鳥:顔まっかよ、千鳥足だし

蟹江:顔は生まれつき赤いの、千鳥足は生まれつき足が悪くてさ

飛鳥:そうなの?

蟹江:うん、だから酔ってないけど、今日は酔いたいかな、そのドライマティーニっていうの飲んでみたい

飛鳥:酔いつぶれてもしらないわよ・・・?あたしは優しくないから店の表にほっぽり出しますからね。

蟹江:大丈夫だって。お願いします。

飛鳥:んもう・・・じゃあはい、とりあえずお水ね

蟹江:あ、うん、ありがとう

飛鳥:最初にお水飲んどくとだいぶ違うのよ

蟹江:そうなんだ

飛鳥:じゃ、作るから待っててね

0:飛鳥、奥に行ってマティーニを作る。

0:蟹江、水を少し飲んだ後、胸ポケットから煙草を取り出す。

蟹江:あー・・・すみません、吸ってもいいですか?

犬塚:・・・

蟹江:あれっ、あのーすみません、もしもーし

犬塚:えっ、私ですか

蟹江:あ、はい。たばこ、吸いますね。すいません。

0:蟹江、たばこに火をつけようとする

犬塚:え、吸うんですか。

蟹江:え?あ、ごめんなさい、嫌でしたか。

犬塚:あいえ、別に嫌じゃないんですけど

蟹江:あ、そうですか、じゃあ失礼して。すいませんね。

0:蟹江、たばこに火をつけようとする。

犬塚:あれ?吸うんですね?

蟹江:は?

犬塚:いや、吸うのか、吸わないのかどっちなのかと思いまして。

蟹江:吸いますよ。すいません。

犬塚:いや、だから

蟹江:なんですか!

犬塚:・・・いえ、なんでもないです。どうぞ。

蟹江:はい、では

0:蟹江、たばこに火をつけて大きく深呼吸をする。

蟹江:ふう・・・

0:二人の会話が落ち着いたころに、下手で作業をしていた二人が話を始める。猫宮の手にはマンドリンが、ローバーは背景の大きな板に絵筆で何かを書いている。

猫宮:あーあー、テステス、マイクテス、ワンツー、ママ!どう?

飛鳥:(カクテルを作りながら)そうねえ、ちょっと低音がボンボンしてるかな

猫宮:低音ね、おっけー、そしたらここをこうして、チェックワンツー、ママー!どう?

飛鳥:おっけー完璧よ

猫宮:ありがとー!そしたらレベルチェックはおっけー、ローバー、背景はどんな・・・って地味!

ローバー:ああ?

猫宮:いやいや、ちょっと地味過ぎない

ローバー:なんだ?文句あんのか

猫宮:文句っていうか、今夜は私のオンステージなのよ?わかってる?

ローバー:わかってるよ。だからこそこの背景なんじゃねーか

猫宮:いやいや、私はもっと派手に、かわいくしてほしいんだけど

ローバー:かわいく?

猫宮:そうかわいく、もっと蛍光色のピンクとかでどばーっとさ!

ローバー:だめだ

猫宮:なんでよ!いい?私にこんな、群青色とか、黄土色とか、ぐちゃぐちゃの泥みたいな背景は合わないの!

ローバー:うるせえなあ、じゃあ自分で書くか?

猫宮:なんで私が手を汚さなきゃいけないのよ

ローバー:ああん?お前言わせておけば・・・もういい、俺ぁ降りる、やめだ

0:ローバー、荷物をまとめて店を出ていこうとする。

猫宮:はあ?こんな中途半端で、あんたそれでも芸術家なの?

ローバー:俺ぁ芸術家じゃねえ、画家だ

猫宮:一緒じゃない

ローバー:一緒じゃねえ!

飛鳥:ローバー!ネムちゃん!

猫宮:・・・

ローバー:・・・

飛鳥:もう告知だしちゃったから、しっかり頼むわね

ローバー:ちっ

猫宮:はーい

飛鳥:(蟹江に)ごめんね、騒がしくしちゃって。だからお客様に見せるもんじゃないって言ったんだけどね。はい、ドライマティーニと、これ、お水ね。ちゃんと飲むのよ。

蟹江:は、はい、ありがとうございます。

飛鳥:いいえ、ごゆっくり

0:蟹江、マティーニを一口飲む

蟹江:おいしい。

飛鳥:ふふ、でしょ、これね、日本のお酒使ってるのよ

蟹江:え?ジンって確か海外の蒸留酒でしたよね?

飛鳥:そうね、ジンと言えばオランダとかイギリスのイメージ強いかもしれないけど、実は日本でも製造されてるの。すこーし高いんだけどね、香りが高くておいしいのよ。ハーブみたいな香りがするでしょ

蟹江:はい・・・

飛鳥:クラフトジンって調べれば多分自宅でも買えると思うわよ。ま、あなたくらいの年なら週末の外食を我慢するくらいで手に入るんじゃないかしら。

0:飛鳥が話してる間に蟹江は泣き出す。

飛鳥:えっ、なにあなた泣いてるの

蟹江:すみません、泣いてないです

飛鳥:あーんた、ほら、ティッシュ、大丈夫?

蟹江:すいません、大丈夫です、大丈夫です

飛鳥:もーなんかあたしが泣かせたみたいじゃなーい

猫宮:アーテステス、マイクチェック

ローバー:マイクチェックは終わったんじゃねーのかよ!

飛鳥:うるさいあんたたち!

ローバー:ええ・・・

飛鳥:新入りちゃんが泣いちゃったのー、えーごめんなさい、大丈夫?

蟹江:あ、はい、ああ、そんなティッシュ、ありがとうございます、ああ、ティッシュ、あもうほんとに大丈夫です、あ、ああありがとうございます。

犬塚:やりすぎだよ飛鳥ママ

飛鳥:ええーん、だってえ、私オトコの涙に弱いのよぉ

犬塚:彼ティッシュでもふもふになっちゃってるよ、一箱でも多いのに

蟹江:あ、いえ、大丈夫です、はい、すいません

飛鳥:うーん、どうしたの・・・

犬塚:ママが泣き薬でも入れたんじゃないのか

飛鳥:ないわよそんな薬

犬塚:ははっ

蟹江:すいません、ちょっとこのハーブの香り嗅いでたら、実家を思い出してしまって・・・

飛鳥:実家?

蟹江:はい・・・

飛鳥:あ、そうだ、あんたの名前聞いてなかったわね

蟹江:はあ、わたし蟹江と申します。

飛鳥:カニエ、かにちゃんね、私はアスカママよ、ブレーメンのママ。よろしくね。

蟹江:はい、お願いします

飛鳥:あんた実家はどこなの?

蟹江:北の小さい村です。冬は雪が6メートルも積もるその村で私は生まれました。

飛鳥:北ってここも日本じゃ北の方だけど

蟹江:もっと北です。私の実家はハーブ園を営んでいました。世界中からありとあらゆるハーブの種を仕入れて、栽培して種とか苗とかを売って生活してました。

飛鳥:あら素敵ね!うちにもおすそ分けして頂戴よ、モヒートにしてあげるわ

蟹江:はは、できたら僕もそうしたいです・・・

飛鳥:できたら?

蟹江:はい、僕の実家はもうないんです

飛鳥:ないって、ないの?

蟹江:そうです。僕の実家は、僕の両親は

蟹江:殺されたんです。

0:短い沈黙。と、猫宮とローバーが作業を終えてカウンターに来る。

猫宮:おーいママーなんか飲み物ちょうだーい

飛鳥:あら、終わったの?

猫宮:うーん、あと少し、あそうだ、先CD渡しとくね

飛鳥:ああ、はいはい

ローバー:姉さん、俺水頂戴

飛鳥:はいはい、お水ね、待ってね

ローバー:・・・?姉さん何こいつ

飛鳥:うちの店の新入りちゃんよ

ローバー:えっ

猫宮:ええ!新入り!?

蟹江:ママさん、それだと僕が従業員みたいな言い方じゃ・・・

ローバー:こいつが!?こいつが新入りだ!?あっはっはっは!

猫宮:ねえねえ

蟹江:はい

猫宮:なんでこの店に来たの?あんた趣味は?特技は?ねえねえねえ

犬塚:おいニャンコ、新入りが困ってんだろ

ローバー:へっ・・・あ、姉さん、キャンパス狭いんだけど余ってるベニヤとかねえ?

飛鳥:あ、確か裏にあったわよ

ローバー:え、マジ、どこ

飛鳥:えーっと、確か裏よね。ネムちゃん、ちょっとお店番任せるわね。好きなもの飲んでていいわよ。

猫宮:お、やったあ!

0:ローバーと飛鳥が退場。猫宮がカウンターに入ってごそごそと準備をする。沈黙。

犬塚:・・・で?両親が殺されたって?

蟹江:あ、聞いてたんですね

犬塚:この距離だぞ、聞こえるだろう

蟹江:そうですよね・・・はい、両親は殺されたんです。

犬塚:そうか・・・

蟹江:秋、すこし肌寒くて、それでも穏やかな朝でした。寝ている僕の枕元にね、柿が4つ、置いてあったんです。

犬塚:柿・・・?

蟹江:はい、つやつやで、おいしそうな柿が。4つもあったので、僕はおとうさんとお母さんに分けてあげようと、台所に降りて行ったんです。

犬塚:・・・

蟹江:でもね、台所にも、リビングにも、トイレにも押し入れにも、両親はいなかったんです。

蟹江:ふと、庭のハーブ園を見ました。一見、いつもと変わらない景色だったんですが、ひとつだけいつもと違うところがあったんです。

蟹江:柿の木がね、生えていたんですよ。僕が寝ている間に植え替えたのか、僕が気づいていなかっただけなのかはわかりません。そこには一本の柿の木があったんです。

蟹江:僕はね、なんでかわからないけどゾっとしたんです。柿の木を見つけたその瞬間、とても不安になりました。

蟹江:慌ててかけよってみると、そこには両親が倒れていました。頭から血を流して、ボロボロになった両親が。

犬塚:・・・

蟹江:両親の周りにはね、血まみれになった柿が潰れて落ちていたんです。その場で泣き崩れました。そして涙を流しながら、赤く染まった生柿を握りしめて、僕は復讐を誓ったんです。

犬塚:そんなことがあったんだな

蟹江:(涙をぬぐって)すみません、なんか自分の話ばっかりで・・・

犬塚:いや・・・

0:短い間

猫宮:それで、復讐は叶ったの?

蟹江:えっ

猫宮:復讐、したんでしょ?その犯人に

蟹江:ええ

猫宮:どうだったの?

蟹江:実はね、私、仕事、刑事だったんです。

猫宮:にゃっ・・・!

蟹江:もう、辞めましたけどね

猫宮:そうなんだ・・・

蟹江:私ね、両親を殺した犯人、捕まえたんですよ。

猫宮:へえ!すごいじゃないの!

蟹江:はい、錦糸町にね、事務所を構えてたんです彼ら。猿田組って暴力団、聞いたことありません?

猫宮:猿田組・・・?ないなあ

蟹江:まあ、そうですよね。小さい暴力団です。

猫宮:そこの組の人が犯人だったってこと?

蟹江:組長だったんです。猿田 種彦(さるた たねひこ)。

猫宮:ああ、なるほど・・・それで?

蟹江:摘発しました。猿田組への令状を取って、ガサ入れをしたんです。

猫宮:ふむ

蟹江:ははは・・・いろいろ出てきましたよ。暴行や賭博、もちろん殺しの証拠まで、やつらは全部取ってあった。

猫宮:あらら・・・

蟹江:こっちがプロなら相手もプロです。住宅地での銃撃戦を経て、やっとこさボスの猿田を逮捕することができたんです。

猫宮:おお!逮捕したんだね!!

蟹江:はい

猫宮:そっか、それで大仕事の終わりに、この店に来てくれたってことなのね!

蟹江:・・・

猫宮:あら、もうなくなっちゃってるじゃない

蟹江:え?ああ、はあ

犬塚:オリーブ、食べないのか?

蟹江:あ、はい、なんかギシギシしてて苦手なんですよね

犬塚:くれよ

猫宮:犬塚さん行儀わるいって

蟹江:別いいですよ、はい(笑)

犬塚:ありがとう

猫宮:何飲む?おなじやつ?

蟹江:うーん、そうですねえ

犬塚:クロンダイク・ハイボールなんてどうだ?

蟹江:なんですかそれ

猫宮:なにそれ

犬塚:ニャンコもしらないか。本当は食前酒に出すもんなんだが、兄ちゃんもう酔っぱらいだろう。ベルモットの香りがするさっぱりしたカクテルだよ。

蟹江:ベルモットは知ってます。

猫宮:私も。

犬塚:確か、あった気がするけどな。えっと、ドライベルモットと・・・

0:犬塚が奥の棚をあさりはじめる

蟹江:・・・だめだったんです

猫宮:え?

蟹江:今日ね、猿田の裁判があったんです

猫宮:うん

蟹江:僕も証人として呼ばれてたんです。今日はその帰りだったんですけど

蟹江:執行猶予が付いたんです。猿田は薬物をやっていてね。判断能力と、意思能力の欠如で、2年。

猫宮:あらあ・・・

蟹江:(泣きそうになりながら)僕はね、5年、5年も彼を追って、やっと逮捕したんです、なのに、彼は2年おとなしくしてればいいなんて・・・そんなバカな話はありますか。

0:蟹江、悔しそうに泣いている。

猫宮:すごい話だね

蟹江:すみません、ほんと、僕の話ばっかり・・・

猫宮:いいのいいの、ここ、そういう店だから

蟹江:絶対・・・常連になりますから・・・!

猫宮:ははは、ありがとね。

0:蟹江、しくしく泣く

猫宮:それで、あんたはどうしたいの?

蟹江:どうしたい、ってどういう・・・?

猫宮:ほら、本音はさ、その猿田って男の事、憎いからここに忘れに来たんでしょ?

蟹江:お恥ずかしいです・・・でもそうですね・・・にくい、はい、憎いですね

猫宮:うん

蟹江:両親を奪った男なんです。その男がのうのうと生き続けられると思うと、苦しいです

猫宮:・・・

蟹江:出来る事なら、殺してしまいたい

猫宮:・・・そう

0:短い間。ふいに、猫宮がマンドリンを取り出して演奏を始める。

0:(口上タイムの始まりです。思い思いに気持ちよく口上を読み上げてください!)

猫宮:獣を食えば因果は巡る。因果がめぐれば穴二つ。

蟹江:え?どうしたんですか急に

猫宮:ところがどっこい近頃は、因果が巡れど穿てる穴はどちらか一つ。

蟹江:な、なんですかこの音楽!

猫宮:放浪楽師の成れの果て、マンドリンの音に乗せ

猫宮:読むは楽譜か世の流れ

猫宮:ラップトップに思いを込めて、あなたの秘密を拝見します。

猫宮:ゼロとイチの世界を泳ぐ、音楽家、黒猫ネコミヤ、ここに

蟹江:猫宮さん!?そのパソコンはどこから!?

犬塚:善だ偽善だ抜かせども、白だ黒だと抜かせども

蟹江:え!?あなたもですか!?

犬塚:グレーゾーンがあるのぁ、世の常だ

犬塚:俺には気持ちがよくわかる。法で裁けぬ罪ならば、法で裁かぬ手もあると

犬塚:溜りし澱(おり)は切り捨てる。グレーハウンドの犬塚、ここに。

飛鳥:話は聞かせてもらったわ。

蟹江:あ!ママ!ちょっとこの二人おかしいんだけど!

ローバー:神は大地に絵を描いた、大きな大きな絵を描いた

蟹江:ええ!?

ローバー:神様ぁねぇ、そこで筆を間違えちまった

ローバー:悲しいねぇ、人間という生き物は・・・

ローバー:白いキャンパス描いた景色、黒く染めてく悪党を

ローバー:俺の絵筆は見逃さねえ

ローバー:フィキサチーフを引っぺがし、お前の恨み、描いてやろう

ローバー:放浪絵師、ローバー、ここに

蟹江:絵筆から、それは、針・・・ですか?

飛鳥:並びな、お前たち。

蟹江:ママ!!

飛鳥:男も女もわからない

飛鳥:(セリフ)合縁奇縁とはよくいったものです

飛鳥:性別なんて曖昧で、明日は明日の風が吹く

飛鳥:しかしあんたの恨みには、替えも替えれぬ思いがあった

飛鳥:(セリフ)飛鳥ママ、ちょっと感動しちゃったよ

飛鳥:親に思われ子が思い、そいつを踏みにじるたあ、どこの外道か妖怪か

飛鳥:あんたの願い、あたしたちが晴らさせていただきましょう。

飛鳥:我ら、ブレーメンズ。人知れず消えていく恨みを晴らす代行業者。

飛鳥:以後、お見知りおきを。

0:全員ポーズを決めてストップモーション。呆気にとられる蟹江。

猫宮:ママ、ご注文、クロンダイク・ハイボール。

飛鳥:ありがと、お待たせしました、クロンダイク・ハイボール。

飛鳥:カクテル言葉は、「本音と建前」。あなたの「本音」、お預かりするわね。

0:To be continued

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らての台本置き場

はじまめして!らて@放浪作家です! このサイトはシナリオライターのらてが執筆したシナリオを置いておく場所になります。 声劇や劇団のインプロ、演劇部の上演に使っていただいても構いません! 皆様こぞってご上演ください! ※上演前に必ず利用規約をお読みください

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