作品名の後の数字は「男:女:性別不問」の比率になっております。

[4:1:1]となっていたら

・男性4人、女性1人、男女どちらがやってもいい役が1人

という感じです。

あくまで台本選びのガイドなので、これを必ず守らないといけないというものではないのでご了承ください

※上演の際は必ず「利用規約」をお読みください

探偵と助手の電話 [0:0:2]

助手:とにかく、煙草はやめてくださいね。今回はちゃんと回復したからよかったけど、そのまま亡くなる方だっているんですから。ああ、いえ別に脅しているわけじゃありませんが、そういうケースもあるってことなんで、気を付けてくださいね。

助手:じゃあとりあえず、退院後のお薬出しておきますんで、1週間はしっかりお薬飲んで安静にしてください。

助手:じゃあ、以上になりますので、お大事になさってくださいね。

助手:・・・はぁ・・・

0:探偵の留守中、助手の元に電話がかかってくる

探偵:プルプルプル、プルプルプル

助手:はい、もしもし

探偵:ああ、よかった、やっと出た・・・もう、電話くらいすぐ出てよね

助手:先生・・・僕も仕事中なんですから、患者さんの方が優先ですよ

探偵:ああ、そっか、今日病院の日か

助手:先生が今日は非番っていうから、こっちの予定入れたんですよ?

探偵:そうだったね、ごめんごめん

助手:で、なんですか?

探偵:ああ、そうそう、今私旅行に来てるんだけど

助手:離島ですよね、どこでしたっけ?沖縄?

探偵:東京だよ、東京の離島

助手:ああそうでしたね

探偵:でね、今その島の旅館に来てるの

助手:いいなぁー旅館、なんで僕誘ってくれなかったんですかぁ

探偵:誘ったじゃないか・・・和戸村(ワトムラ)くんが断ったんだろ、船が怖いからって

助手:ああ、そっか、そうでしたね

探偵:もう・・・よくその記憶力で医師免許取れたよね

助手:僕は興味あることしか記憶できないんです

探偵:ひどい!和戸村君それ、暗に私に興味がないって言ってるようなもんだよ!?

助手:まあ、先生の事は尊敬してますけどね

探偵:そ、そう?

助手:で、どうしたんですか?まさかバカンスを自慢するためだけに電話してきたんじゃないでしょうね

探偵:そんなわけないだろう・・・私がそんな暇な人間に見えるのかね?

助手:先生は割といつも暇そうですよね

探偵:だって依頼来ないんだもん

助手:依頼来ない癖に結構余裕ですよね、先生の事務所って

探偵:なぜか事件には恵まれるからね

助手:・・・実は先生が事件を起こしてるんじゃないんですか?

探偵:そんなわけないでしょ!私は解決専門だから

助手:どうですかねえ

探偵:それで、それでなんだよ和戸村くん!

助手:はい

探偵:事件発生しちゃったんだよ

助手:またですか・・・

探偵:そう、さっき旅館にいるって言ったろう?さっきね、私が部屋でツムツムしてたら部屋の外から悲鳴が聞こえてさ

助手:あんた離島楽しむ気ないだろ

探偵:それで、まさかとおもって悲鳴の方に急いで行ってみたらさ

助手:はい

探偵:露天風呂でおかみさんが血を流して倒れてたの・・・!

助手:おーーー

探偵:え、なんだよおーって

助手:いえ、数家(あまいえ)先生ってことごとく推理小説みたいなシチュエーションに居るなと思って

探偵:馬鹿にしてるだろ

助手:すみません

探偵:僕だって好きで殺人現場に巻き込まれてるわけじゃないんだよ、たまたまそういうのが多いだけで・・・

助手:で、どうしたんですか?警察は読んだんですか?

探偵:呼んだよ?呼んだんだけどさ、今日はもう来れないんだって

助手:なんで

探偵:船がね?終わっちゃってるんだって

助手:東京なのに?

探偵:離島だから

助手:なるほど

探偵:でね、いろいろ話したの

助手:誰と?

探偵:ここに泊まってる人。全員集められてね、どうしようかって

助手:一か所に集まるのは賢いですね、それで?

探偵:ここってさ、山の奥で、外部の人が入ってこれる場所じゃないんだよ

助手:はい

探偵:ということはつまり、

助手:あーなるほど、犯人はこの中にいる系ですね?

0:けらけらと笑う助手

探偵:笑いごとじゃないよー!だってさ?今夜殺人犯と一緒に夜を明かさなきゃいけないわけだよ?

助手:まあそうなりますよね

探偵:私たち、死体とか見てるわけじゃん?殺人犯が、証拠隠滅のために私たち皆殺しにくるかもしれないじゃん?

助手:極端ですね

探偵:怖いよー、私まだ死にたくないってー

助手:うーん・・・

探偵:それでね、ここからが本題なの

助手:はい?

探偵:いろいろね、みんなで話してたらさ、バレちゃったんだよね

助手:なにがですか?

探偵:・・・私が探偵だってこと

0:短い間

助手:え、あ、はい

探偵:え、なんでそんな反応なの

助手:え?だって、何が問題なんですか?先生は探偵なんだし、それがバレたからって

探偵:違うんだよぉ!バレただけならいいんだよ?「へーあなた探偵なんですね、すごーい」で終わればさ、私も全然いいんだけどさ。

助手:ですよね

探偵:まあ、今思えば必然だよね、なんかみんながさ、探偵さんがいるならよかった!みたいな雰囲気になりはじめたのね

助手:あーなるほど

探偵:そう、で「探偵さん、どこから調べますか?」とか」「とりあえず全員のアリバイですかね?」とか、旅館の旦那さんが乗ってきちゃって

助手:断ったんでしょ?

探偵:え?

助手:いや、推理ですよ、断ったんでしょ?

探偵:・・・

助手:まさか・・・

探偵:受けました

助手:なんでですか!

探偵:だって!なんだか気持ちよかったんだもん!私あんまり頼られる事とかないしさあ!みんな私の事求めてる感じだったんだもん!

助手:どうするんですか

探偵:どうするって?

助手:だって先生、僕がいないところで推理したことありませんよね

探偵:まあね

助手:まあねじゃないですよ!

助手:あーあ、終わりだ、数家探偵事務所倒産、先生の実家に毎日嫌がらせの電話とかかかってきますよ

探偵:だから君に電話してるんだろー!

助手:僕は仕事中です、じゃ

探偵:ちょちょちょちょ、ちょっとまってよ!

助手:・・・

探偵:アイス奢るから

助手:・・・

探偵:私の集めてる当たりの棒もあげる

助手:・・・

探偵:ドンドルマも奢るから

助手:・・・ドンドルマってなんですか?

探偵:トルコのアイスだよ

助手:なんで担保がアイス関連オンリーなんだよ!

探偵:夏だからアイスうれしいかなとおもって・・・

0:短い間

探偵:ごめんなさい・・・

0:短い間

助手:・・・凶器

探偵:え?

助手:まず凶器、遺体の状況、容疑者の詳細

探偵:和戸村くん!

助手:僕も先生の事務所が潰れたら困りますからね

探偵:和戸村くぅーん、そうだよねえー、君だって私の事務所で働けなくなったら悲しいもんねえー

助手:23番でお待ちの方、2番診察室まで・・・

探偵:うそうそうそ!うそ!まってまって!ごめんって!

助手:・・・で、凶器は?

探偵:たぶんナイフ

助手:はい

探偵:・・・

助手:え・・・?終わりですか?

探偵:うん

助手:それだけじゃなんとも・・・

探偵:だって、いつもだったら君がいて、見てくれるんだもん、言葉で説明とかできないよ

助手:失礼します

探偵:和戸村くん!!ちがうの!ほんとにわかんないの!「刺し傷だな」って感じなの!

助手:・・・傷口の周りにアザとかは?

探偵:ない・・・

助手:衣服は破れてますか?

探偵:うん、破れてるよ

助手:どんな感じで?

探偵:切れてる感じ・・・?でも着物が少しけば立ってるかな

助手:傷口の大きさは

探偵:3センチくらい?

助手:刺身包丁ですね、板前とかが使う

探偵:ええ!それだけでわかるの!?

助手:はい、刃物の刺し傷は大きく分けて2つ、分厚い刃か、薄い刃か。

助手:薄い刃の場合は衣服の繊維はきれいに切れますが、分厚い刃の場合ミネの部分が洋服の繊維を傷つけるんです。

助手:つまり今回の凶器は分厚い刃物。

助手:そして分厚い刃物といえばだいたい絞られてくる。肉切り包丁とかマチェーテとか、そういうやつです。

助手:ただそこは旅館でしょう?マチェーテがあるとは思えない。

助手:そして傷口の長さが大体3センチほどということだったので、板前さんの使う刺身包丁じゃないかなって。

探偵:有能!!いるいる!容疑者に板前さん。板長の長谷川って男がいてさ、そういえばこの男、おかみさんと不倫関係にあったって噂が立ってたらしいよ!

助手:決まりですね、そいつが犯人です

探偵:本当に、ありがとう!アイスの棒ぜったい全部あげるからね!

助手:いらないですよ。そんなことより給料上げてください。

探偵:うん!それも考えておくね!

助手:絶対あげる気ないでしょ。ほら、早くその長谷川って男を拘束してきてください。

探偵:うん!わかった!とりあえず長谷川さんと、旅館の旦那さん、刃物使いのジャックを居間に集めてくる!ありがとね!また事件解決したら連絡するね!じゃあね!

助手:ちょっとまって

探偵:ん?

助手:え・・・うん

助手:え・・・?

探偵:どうしたの?

助手:いやいや、そんなはずは・・・ん?

助手:・・・数家さん

探偵:こわいな、どうしたの

助手:ちょっともう一回さっきの言ってもらってもいいですか?

探偵:さっきの?・・・薄い刃の場合は、衣服の繊維はきれいに切れるから・・・

助手:いやそのちょっと後・・・てかそれ僕の言ったやつですよね

探偵:ああそっか、えっと

助手:容疑者、容疑者のところなんて言いました?

探偵:え?板前の長谷川さん?

助手:うん、板前の長谷川さんと?

探偵:旅館の旦那さん

助手:はい、旅館の旦那さん。そして?

探偵:刃物使いのジャック

助手:そいつだ!!!!!!!!!!

探偵:え?

助手:いや、絶対犯人そいつだ!なに?刃物使い?刃物使いってなに?

探偵:刃物使いっていうのは刃物で人を殺(あや)めることに精通した暗殺者のことだって。ジャックさんが教えてくれた

助手:いやそいつだ!え?そいつだよね?

探偵:何をいっているんだ和戸村君は

助手:え?なんでわかんないんですか?刃物使いですよ?今回の凶器なんでしたっけ

探偵:刺身包丁、君が行ったんだろ

助手:はい包丁、刃物、ビンゴ

探偵:いや、ちょっとまってよ

助手:なんですか?

探偵:ジャックさんは単にm「刃物で人間を効率よく停止させる方法に詳しい」だけで、今回の殺人事件とは無関係だとおもうけど

助手:先生?自分の言ってることわかってます?「人間を効率よく停止させる」って言い回しがもう犯人ですって!ジャック犯人だって!

探偵:いやいや、凶器は刺身包丁なんでしょ?だったら板前さんが犯人なんじゃないの?

助手:いや、もう刺身包丁であるって情報忘れてください。だってそんな奴いると思わなかったもん!なに刃物使いって!

探偵:いやあ、確かにジャックさんは殺人現場で血まみれになってたけどさあ、それだけで犯人って・・・それもう偏見じゃない?

助手:偏見じゃねーよ!状況証拠しかそろってないよ!てかジャック現場にいて、なおかつ血まみれだったのかよ!まぎれもねえよ!もうまぎれもねえよ!

探偵:和戸村くんちょっと怖いよ・・・

助手:いや、先生大丈夫ですか?僕の言ってることわかります?

探偵:ジャックが犯人ってこと・・・?

助手:うん、まあそうなんですけど・・・あれ?てかジャックって切り裂きか?切り裂きのやつなのか?・・・先生

探偵:なに?

助手:ジャックさんって、何人(なにじん)ですか?

探偵:日本人だよ。霧崎ジャック

助手:亜種!亜種だ!もしくはオマージュだ!

探偵:なんだいオマージュって・・・

助手:てかそうなるとジャックってどういう字書くんですか?

探偵:えっとね、僕もそれ聞いたの、珍しいよね、なんかー強い弱いの、弱いでジャック

助手:(非常に興奮した様子で)親!親はなにを思ってその字にしたんだ!ジャック!

探偵:なあ、君、そこ病院だろ

助手:急に正論ぶん投げてこないでください・・・

0:短い間

助手:とにかく、ジャック、刃物使い、そいつが犯人ですから、先生も犯人宣告するときは気を付けてくださいね

探偵:わかった、ジャックさんでいいのね

助手:はい、絶対そいつやってますから。仮に今回やってなくても今までに何人かはやってますから。

助手:余罪ありますから。

探偵:なにを根拠にいってるのかはわからないけど、わかった!身柄を抑えてくるね!

助手:はい!ほんとに気を付けてくださいね!たぶんそいつ太ももとかにナイフ隠してますから!

探偵:映画じゃないんだから・・・じゃあとりあえず、みんな呼んでくるから

助手:はい

探偵:犯人はジャックで、板前の長谷川さんと旦那さんは白・・・被害者の息子の「出刃包丁殺しのケンジ」くんも、白、と

助手:ん・・・?

探偵:和戸村君!ほんとにありがとうね!じゃあ切るね!仕事中にごめんね!

助手:先生ぇぇぇぇ!!!!逃げてえぇぇぇぇえ!!!

0:助手の言葉が届く前に、電話が切れる。

助手:切れた・・・先生・・・

助手:警察、警察・・・だめか、東京の離島って事しかわからないし・・・

助手:探偵、雇うか・・・

0:暗転

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はじまめして!らて@放浪作家です! このサイトはシナリオライターのらてが執筆したシナリオを置いておく場所になります。 声劇や劇団のインプロ、演劇部の上演に使っていただいても構いません! 皆様こぞってご上演ください! ※上演前に必ず利用規約をお読みください

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