作品名の後の数字は「男:女:性別不問」の比率になっております。

[4:1:1]となっていたら

・男性4人、女性1人、男女どちらがやってもいい役が1人

という感じです。

あくまで台本選びのガイドなので、これを必ず守らないといけないというものではないのでご了承ください

※上演の際は必ず「利用規約」をお読みください

男と女の奇妙な馴れ初め【2:1:0】

0:男の部屋で女がスケジュール帳に目を通している

アヤ:えっと、市役所は平日だから・・・あれ?亮介(りょうすけ)木曜何限まで?

亮介:(スマホを見ながら)5限

アヤ:そっか・・・え?うそだよ

アヤ:亮介岡田ゼミじゃん

アヤ:ってことは3限最後じゃん

亮介:(スマホを見ながら)うん

アヤ:・・・亮介?

亮介:(スマホを身ながら)うん

アヤ:・・・亮介って一人っ子だっけ?

亮介:(スマホを身ながら)うん

アヤ:うそだよ、弟いたよね?

亮介:(スマホを身ながら)うん

アヤ:何人兄弟だっけ?

亮介:(スマホを身ながら)うん

アヤ:確か~5万人だっけ、5万1つ子(ごまんひとつご)

亮介:(スマホを身ながら)うん

アヤ:・・・亮介と私って、付き合ってたっけ

亮介:(スマホを身ながら)うん・・・

亮介:(スマホから目を離して)・・・うん?

アヤ:よっしゃー!彼氏ゲットぉー!

亮介:ま、まてまて、今ほら、こっちに集中してたから

アヤ:二人でいる時にスマホばっか見んなって

亮介:しょうがねえだろ、キャンペーン中なんだから

アヤ:キャンペーンって?

亮介:ソシャゲ、一時間に一回ジェムがもらえんの

アヤ:へえ

亮介:(スマホに目を戻して)そ、だから、割とずっと、張り付いてないと

アヤ:いやそうじゃなくてさ

アヤ:亮介

亮介:・・・(スマホから目を離して)なに?

アヤ:木曜暇?ゼミの後

亮介:木曜?

亮介:んー、確認しなきゃわかんないな

0:間。男は再びスマホに目を落とす。

アヤ:え?

亮介:(スマホから目をあげて)ん?

アヤ:ん?

亮介:え?

アヤ:いや「え?」じゃなくて

アヤ:・・・え?

亮介:なんだよ

アヤ:いやいやいや、確認してよ、木曜

亮介:え?今?

アヤ:いや、今でしょ

亮介:あとでいいかなって思ったんだけど

アヤ:なんで

亮介:だって、お前今日泊まるんだろ?

アヤ:うん、まあ、そうね?

アヤ:泊まる

亮介:じゃああとでもいいじゃん

アヤ:いやいや、今聞いたんだから今確認してよ

亮介:なんでだよ・・・

亮介:もう、予定表カバンの中にあるからあとで見るって

アヤ:カバンそこにあるじゃん

亮介:遠いよ

アヤ:近いよ、手伸ばせば届くじゃん

亮介:(やる気なく手を伸ばして)ん・・・届かない

アヤ:・・・

0:怒った表情で男を睨み、不意に立ち上がる女。

亮介:おい、彩(あや)

アヤ:何・・・

亮介:どこいくの?

アヤ:・・・トイレ

亮介:おまえ・・・またやるつもりだろ・・・

アヤ:なに、またやるって・・・

亮介:風呂場にシャンプーぶちまけてヌルヌルにするやつだよ

アヤ:やんないよ、そんなこと

亮介:嘘だな、お前が無言で立ち上がって、戻って来るときは必ずと言っていいほど風呂場がぬるぬるになっている

アヤ:それは・・・もともとでしょ・・・

亮介:・・・もともとって何?

アヤ:もともと・・・そういうタイプのお風呂だったんでしょ

亮介:壁とか床がヌルヌルになるタイプのお風呂?

アヤ:そうそう、壁とか床だと思ってたのが実は生きた動物の内側で、その動物から分泌される粘液が、じわじわーっと

亮介:怖いよ!

亮介:事故物件だよ

亮介:大事故物件(おおじこぶっけん)だよ

亮介:・・・はぁ、わかったよ、日程な、とりあえずそこ座れって

アヤ:木曜ね、24日

亮介:(日程表を取り出して)えっと、バイト・・・はないから、うん、今のところ空いてるよ

アヤ:ほんと?

亮介:うん、なんで?

アヤ:イルミネーション行こ

亮介:・・・行かないっ

アヤ:えええー!なんでよー!

亮介:なにが悲しくてお前と電飾見に行かなきゃなんないの

アヤ:いいじゃん、どうせ予定ないんでしょ?

亮介:だとしても嫌、ファミレスでカタツムリ食べるほうがいい

アヤ:カタツムリつまんないって、イルミネーション行こうって

亮介:やだよー

亮介:だって、あれだろ?そういうところって、こう、色気づいた男女が集まり

亮介:身を、こう、身体とかを・・・寄せ合い・・・

亮介:そして、唇を、交わしあい・・・

亮介:ネチャネチャネチャネチャ、おえええええええええ

アヤ:偏見だって、さすがにそんなことにはなってないって

亮介:やだやだ、いかない

亮介:平日の夜に、そんなところに、恋人でもないお前といって、男女のネチャネチャ見たら俺・・・

アヤ:やめてよその擬音

亮介:とにかくいかない

アヤ:(小声)恋人になればいいのに

亮介:ん?なんか言った?

アヤ:いや、別に

0:間。

0:静寂の中、何かが走り抜ける音がする。

マッハ長田:(F‐1が通り過ぎるような音)フゥゥゥンッ

0:男女とも、音には気づかない

アヤ:ねー、亮介ー

亮介:んー、なにー

アヤ:ひまー

亮介:なんだよ、人んち勝手に上がり込んで

アヤ:来ていいって言ったの亮介じゃん

亮介:来てもいいけど、別に遊ぶとはいってねーぞー

アヤ:・・・(怒っている)

亮介:おい、彩

アヤ:・・・

亮介:シャンプーやめろよ

アヤ:・・・

亮介:・・・あーもう、わかった、わかったから座れ

アヤ:構ってくれるの・・・

亮介:構う構う、だからシャンプーはやめてくれ、な

アヤ:うん、わかった、シャンプーやんない(座る)

亮介:やっぱり犯人お前だったのか

アヤ:で、何して遊ぶの?

亮介:子供かお前は

亮介:あのな、お前さ、俺らの大学の場所が大学になる前、何だったか知ってる?

アヤ:あ、怖い話だ

亮介:これは、岡田教授に聞いたんだけどさ、実は俺らの大学の場所には、もともとでっかい処刑場があったんだって

アヤ:怖い話やめて

亮介:でね、守衛棟(しゅえいとう)あるでしょ?あそこが、いろんな人を押し込めて置く牢屋だったの

アヤ:怖い話やめて

亮介:でね、あそこの地下、生徒立ち入り禁止だろ?この前松永が、そこに忍び込んだんだって

アヤ:やめてって

亮介:一番奥の部屋、鍵が開いてて、おかしいなーっと思って開けたらそこには

アヤ:ひいいい

亮介:血まみれの、拷問室が!!!

アヤ:いやああああああああああああああ!

亮介:ちょ、うるさいって、何時だと思ってんだよ

アヤ:二時ぃいいいいいい!夜中の二時ぃいいいいいいいI!!

亮介:あー!うるさいうるさい!隣の人起きちゃうって!

アヤ:ひいいいいいいいいい拷問室があああああああ!

亮介:よーしよしよし、おちつけー

アヤ:ひいいい・・・

亮介:うそだからー、拷問室なんてあるわけないからー

アヤ:ひいい・・・

アヤ:え?うそなの?

亮介:うそだよ

アヤ:うそついたの?

亮介:いや、うそついたっていうか、怖い話なんてそんなもんじゃん

アヤ:・・・はー怖かった

亮介:怖がり過ぎだよ

アヤ:うそに騙されてしまった

亮介:なんか飲むか?

アヤ:水でいいよ

亮介:はいはい、水ね

0:間。男は水をくむ。

0:静寂の中、再び何かが走り抜ける音がする。

マッハ長田:(F‐1が通り過ぎるような音)フゥゥゥンッ

0:男女とも、音には気づかない。

亮介:はい、水

アヤ:ん、ありがと・・・(水を飲む)

アヤ:ぷはぁ、生き返ったぁ

亮介:そんな怖かった?

アヤ:怖いの苦手なの知ってるでしょ

亮介:(笑って)まあね

アヤ:いじわるだなあ

亮介:でもさすがに、あれは怖がりすぎだろ

アヤ:だって処刑場だよ・・・拷問室だよ・・・嘘だからよかったけど・・・

亮介:あはは

アヤ:私もやる

亮介:え?

アヤ:私も怖い話する

亮介:お前、怖いの苦手だろ

アヤ:うん、苦手だけど、やられっぱなしはなんかこう、悔しいじゃん?

亮介:なんだそれ

アヤ:いい?怖がる準備しててね?そうとうやばいヤツあるから

亮介:言っとくけど俺には効かないぞそういうの

アヤ:いいから、いくよ?

亮介:はいはい

0:間

アヤ:これはーわたしがー、友達に聞いた話なんですけどねぇ

亮介:(クスクスと笑う)

アヤ:何笑ってんの

亮介:いや、そんな話し方しなくてもいいよ別に

アヤ:雰囲気出してるの、笑わないでよ

亮介:すまんすまん、続けて

アヤ:もういいよ、普通に話すから

亮介:ああ、頼む

アヤ:亮介さ、マッハ長田(おさだ)って都市伝説知ってる?

亮介:マッハ長田?

アヤ:そう、マッハ長田

アヤ:なんでもマッハ4、だから、おおよそ時速5000キロメートルで移動するおじさんなんだけど

亮介:ほ、ほう?

アヤ:たまにさ、学校行って、家に帰ってきた時、物がすこーしだけ動いてる時ってあるでしょ?

亮介:ん、わかんないけど、うん

アヤ:それでね、私の友達がね、これはマッハ長田のせいなんじゃないかって思って、部屋中に糸を張り巡らせて、すべての家具にしるしを付けたの

亮介:しるし?

アヤ:こう、もともとの場所に印をつけて置けばさ、動いたときにわかるじゃん?

亮介:ああ、なるほど

アヤ:それでね、朝家を出て、授業受けて、家に帰ってきてさ

アヤ:家の扉を開けて、電気をパチって、点けたのね

亮介:う、うん・・・

アヤ:糸、全部切れてたんだって

0:間

0:静寂の中、何かが走り抜ける音がする。

マッハ長田:(F‐1が通り過ぎるような音)フォォォォウン

0:男女とも、音には気づかない

アヤ:しかも、家具の位置とか、コップの位置とか、ぜーんぶズレてたの・・・

亮介:お、おう・・・

アヤ:・・・怖くない?

亮介:怖くないよ

アヤ:ええええ!!なんで!!

亮介:だって、え?何その話、マッハ長田?

アヤ:そう、マッハ長田

亮介:そもそも、その友達は鍵かけなかったのかよ

アヤ:え?

亮介:だから、学校に行くときに、鍵を掛けなかったのかよって

アヤ:それは・・・まあ、かけたんじゃない?

亮介:じゃあなんで家の中に入れるんだよ、おかしいだろ

アヤ:そ、それは・・・

亮介:はい論破ぁー

アヤ:(悔しがって)んぅー

亮介:そもそもね、人間がマッハ4を出すのなんて不可能なの

亮介:人間の身体って何で出来てるか知ってる?

亮介:水、たんぱく質、炭水化物、脂肪

亮介:そのほかにカルシウムとかいろいろ、そういう分子が、結合して人間が形成されてるの

亮介:マッハ4も出したら、その結合がほどけてバラバラになっちゃうだろ?

亮介:だから、そんな人間は居ません

亮介:マッハ長田なんて、存在しませーん!

0:時間が止まる。以下、観客にはマッハ長田の姿が見えるようになる。

マッハ長田:(F‐1が通り過ぎるような音)フォォォォウン、シュバッ!

マッハ長田:存在するのである!

マッハ長田:どうもはじめまして!わたくしマッハ長田と申すものなり!

マッハ長田:フゥウウン!フウゥゥン!

マッハ長田:わたくしマッハ4で移動できるゆえ、普通の人間には知覚できないのであるが

マッハ長田:ふつうのスピードでも移動できるので、つまりは普段は泉町の印刷会社で中間管理職を任せられた、ごく普通のおじさんなのである!

マッハ長田:そしてそしてー!

マッハ長田:先ほどの彼の話であるがー、マッハ長田はごくわずかな隙間からも空間に侵入することが可能なのである!

マッハ長田:なぜならなぜならー

マッハ長田:マッハ4で動くということはそれ相応の柔軟性が必要であるからしてー

マッハ長田:マッハ長田の体は意外ともちもちなのである!

マッハ長田:そしてこのもちもちボディーを高速移動させることによってぇー!

マッハ長田:フゥゥゥゥウウン!フウウウウゥゥゥン!

マッハ長田:このようにー

マッハ長田:フゥゥゥン!

マッハ長田:とても薄ーくなることができるのであるからしてー!

マッハ長田:ぴたっ

マッハ長田:どんなに狭い隙間でも、通り抜けることができるのである!

マッハ長田:(得意げに)ふふん

0:時間が動き出す

アヤ:やっぱいないのかなーマッハ長田

亮介:なに、お前信じてたの?

アヤ:うん、すこし・・・

亮介:馬鹿だなー、いるわけないじゃんそんなヤツ

マッハ長田:ふぉぉぉぉん!いるのである!

アヤ:やっぱそうだよねー

アヤ:でも、ちょっと残念

亮介:残念って、何が?

アヤ:私さ、そういう目に見えないものとか好きで

マッハ長田:マッハ

アヤ:もちろん怖いのとかは嫌だけどさ、でも、ユーフォ―とか、透明人間とか、なんかロマンあるから

マッハ長田:マッハ長田

アヤ:サンタさんも高校生になるまで信じてたし・・・

亮介:そっか・・・

マッハ長田:サンタなんかと一緒にしないでほしいのである!

マッハ長田:なぜならわたくしマッハ長田は~、お前等の苦しむ顔を見るのが大好きな~

マッハ長田:悪役レスラーだーかーらー!!

亮介:まあ、あれだな、これで一勝だな

アヤ:え、何一勝って

亮介:いや、お前は俺のやつで怖がったけど、俺はお前ので怖がらなかったから、俺の勝ち

アヤ:えーなにそれ

亮介:まぁいいじゃん、ほら、もう寝ようよ、あんまりうるさくすると苦情くるからさ

アヤ:んーなんか釈然としないなぁ

亮介:ほら、歯磨きするよ

アヤ:はーい

マッハ長田:いや、悪役レスラーはちがうであるな、長田あんまり体格に自信がないからして・・・

マッハ長田:とにかく!

マッハ長田:昼間印刷会社でたまったストレスを、こうして発散しているのである、ぐぇっへっへっ

マッハ長田:特に今週はクリスマス・・・

マッハ長田:男女がサンタのコスプレであんなことやこんなことをする聖なる夜が近いのである

マッハ長田:許せん・・・断じて許せんのである・・・このやろぉぉぉぉ

マッハ長田:不純異性交遊!不純異性交遊の舞!

マッハ長田:フウウン!フウウウウン!

マッハ長田:しかもあいつら歯磨きをしに行ったのである・・・

マッハ長田:・・・一緒ので磨くのであるか?おうおうおう?

マッハ長田:男が、こう、ごしごしごしごし、ぺっ

マッハ長田:ってしたこの水を使ってー、女が、ガラガラガラガラ・・・

マッハ長田:(バンっと机を叩いて)けしからんのである!!わたくしそういうのあんまり詳しくないけどたぶん大体こんな感じである!

マッハ長田:阻止しなくてはぁ・・・事前に阻止しなくてはぁぁぁぁ!

マッハ長田:ちなみに長田、こうやって喋っている間にも同時進行で8件くらいの家(ヤサ)に存在しているのである。

マッハ長田:マッハ長田は、ぬかりないのである。

アヤ:あれ?これ何?

亮介:ん?何が?

アヤ:いや、これ、歯ブラシ、なんでこんなにあるの?

亮介:何の話だよ・・・って、げっ、なにこれ

アヤ:誰の分・・・?

亮介:いやいや、俺知らないよ、なんだこれ

マッハ長田:長田である

亮介:しかも全部新品だぞ、なんだこの派手な色・・・

マッハ長田:長田のチョイスである

亮介:こんな買った覚えないし・・・

アヤ:ちょっと亮介、大丈夫?

マッハ長田:亮介は大丈夫である、長田がどうかしてるのである

マッハ長田:はーっはっはっはぁ!

マッハ長田:その無数の歯ブラシで、歯を、一本ずつ磨けぇ・・・

マッハ長田:歯は上下合わせて32本、対して歯ブラシは66本・・・

マッハ長田:二人が一本一本の歯にそれぞれ別の歯ブラシを費やしても、2本余る計算なのである・・・

マッハ長田:磨けぇ・・・歯を磨けぇ・・・そして一本磨いたら捨てろぉぉぉぉおお!

アヤ:もしかして・・・私のために買っておいてくれたの?

亮介:え?

マッハ長田:え?

アヤ:私、歯磨きする時、たくさん歯ブラシ使うって、言ったっけ?

亮介:え、えっと、あ、あー!そうそう!そうだったよねーたしかー

アヤ:もし言ったとしても、ずっと前だよね・・・?

アヤ:覚えてて、くれたんだ・・・

亮介:う、うん

アヤ:嬉しい・・・

亮介:そ、それじゃあこれ、使って

アヤ:うん、ありがとう

マッハ長田:ご、ご、ご

マッハ長田:誤算であるぅううう!!!

マッハ長田:まさかの一回歯磨きするのに歯ブラシを65本使うタイプの女だったのである!!!

マッハ長田:てかそれ、もはや歯磨きというより、全身を磨いてないか!?

マッハ長田:足とかも使ってるであるー!誤算であるー!

マッハ長田:く、くっそう・・・しかし、まだ種は撒いてある・・・

マッハ長田:こんなことでへこたれるマッハ長田ではないのである。

亮介:じゃあ、寝るぞ

アヤ:う、うん

亮介:俺、ソファーで寝るから、彩ベッド使っていいよ

アヤ:あの、その、亮介

亮介:なんだよ

アヤ:あのさ、今日はさ、ほら、寒いしさ、それにソファー疲れるだろうから

亮介:うん?

アヤ:その、一緒に・・・

亮介:あれ?

アヤ:ん?どうしたの?

亮介:ベッドが・・・

アヤ:ベッドが・・・?

亮介:二段ベッドになってる・・・

アヤ:え?

アヤ:・・・本当だ

亮介:え、なんで?さっきまで普通のベッドだったよね・・・

アヤ:亮介・・・これってまさか・・・

二人:マッハ長田・・・

マッハ長田:(嬉々として)マッハ長田であるー!

マッハ長田:二人が歯磨きをしている間にベッドを改良しておいたである!

マッハ長田:これで二人は別々に、ふかふかのベッドで寝ることができるである!

マッハ長田:よかったであるな、狭いところにぎゅうぎゅうにならず、広々と眠れるのである

マッハ長田:長田イイヤツー!感謝するのであるな!!

亮介:いやいやいや、そんなわけないって

アヤ:じゃあどう説明するの!

亮介:もう、わかんないけど、ほら、お互いレポートとかで疲れてるから、な、気のせいだよ、気のせい

アヤ:気のせいでベッドが二段になるの?

亮介:もういいよ、寝ようよ、ほら、どっち、上?下?

アヤ:・・・亮介、これ

亮介:ん?

アヤ:寝られないよね?

亮介:え?

マッハ長田:え?

アヤ:いやいや、眠れないよね、だってこれ、隙間が

亮介:あ、ああ、確かに

アヤ:狭すぎるよね?

アヤ:これ、下の段と上の段の間2センチくらいしかないし、上のベッドも、天井すれすれだよ?

亮介:これは・・・寝られないな・・・

マッハ長田:誤算であるぅーーーーーーーーー!

マッハ長田:大誤算であるぅーーー!

マッハ長田:長田もちもちだから長田仕様でベッドを改良してしまったである・・・

亮介:これは・・・仕方ないな・・・二人でソファーに寝るか

アヤ:う、うん・・・そうしよ

マッハ長田:ああああー!どんどん望まない方向に!

マッハ長田:このやろー!こうなったらヤケだ!

マッハ長田:ドアを、開けたり閉めたり、開けたり閉めたり

アヤ:ねえ亮介、なんか寒くない?

亮介:まあ、布団入れば大丈夫だろ

亮介:ほら・・・来いよ

マッハ長田:あああー!だめであるー!そんな狭いところに男女で・・・

アヤ:うん・・・

マッハ長田:あああー!!だめであるー!入るなー!入るなであるー!!

0:二人布団に入る

アヤ:あ、あのさ亮介・・・

亮介:うん

アヤ:私さ、亮介とは中学からずっと一緒でさ、よくこうやってあそんでるじゃん?

亮介:うん

アヤ:その、亮介は、私の事、どう思ってるのかなーって

亮介:・・・どうって?

アヤ:だからその、私の事、どういう風に見てるのかなってこと

亮介:彩は彩だろ

亮介:いいやつだし、頼りになるとおもってるよ

アヤ:そう・・・

亮介:ま、馬鹿だけどな

アヤ:こら、馬鹿は余計でしょ

亮介:あはは・・・

マッハ長田:くううううう!なんだかいい雰囲気である!

マッハ長田:このやろぉぉぉぉ

マッハ長田:結ばせねえぞお・・・縁、結ばせねえぞぉぉぉぉ!

マッハ長田:ドアを、開けたり閉めたり、開けたり閉めたり

アヤ:ほんと、寒い、暖房点けてる?

亮介:ああ、点いてるよ

アヤ:(身震いして)さぶう

亮介:こっち、もっと寄れよ

アヤ:え?

亮介:ほら

アヤ:ちょ、亮介・・・

マッハ長田:イヤアアアアアアアアア!

マッハ長田:生だ!生不純異性交遊だ!!!

マッハ長田:な、なんとか阻止しなければああああ!!!

マッハ長田:ブレーカー、付けたり消したり、付けたり消したり

アヤ:あの、亮介、私、亮介の事が・・・

亮介:まって、俺から言わせて

マッハ長田:ぎゃああああああああ!そもそも電気消えてたのである!ブレーカー意味ないのである!

マッハ長田:ああああ告白を阻止せねばぁぁぁ!

マッハ長田:もう、インコ、アフリカのインコ

マッハ長田:アフリカインコ、乱獲

マッハ長田:かーらーの、リリース

マッハ長田:不純異性交遊部屋に、リリース

アヤ:うん・・・

亮介:彩、俺、実はずっとお前の事が・・・

マッハ長田:んーーだめだ!

マッハ長田:エンドルフィン出すぎてインコに気づかず!くそぅ!

マッハ長田:じゃあ、もうね、あれね

マッハ長田:犬ね、ボルゾイ、野生のボルゾイね

マッハ長田:いっぱい、もういっぱい連れてきちゃう、ボルゾイ祭りだね

マッハ長田:あ、インコもいるからインコボルゾイ祭りだね、うん

マッハ長田:インボルだね、インボル

亮介:お前の事が・・・好きなんだ

マッハ長田:うんもう気付かないね、もう何しても気づかないねこいつら

アヤ:亮介・・・

マッハ長田:なんかロマンチックな雰囲気になってるけど、周り犬だらけだからね

マッハ長田:犬と鳥だらけだからね

マッハ長田:もうこうなったら物理攻撃だ!殴って阻止!もうそれしかない!

亮介:彩、頼む

亮介:俺と、付き合ってくれ

アヤ:遅いよ・・・

亮介:ごめん・・・

アヤ:木曜日、イルミネーション行ってくれる?

亮介:うん、行こう

亮介:てかあれ?

アヤ:ん?

亮介:24日って、クリスマスイブじゃない?

アヤ:(笑って)遅いよ

0:ガシャンと大きな音がする。

0:見るとそこには、電気のコードに躓く形でマッハ長田が倒れている。

アヤ:ひゃああああ!だ、だれですかあなた!てかなんだこの犬と鳥!

亮介:お、お前もしかして!

マッハ長田:・・・バレたのである、わたくし、マッハ長田である

アヤ:ほ、本当に居たんだ!

亮介:ちょ、彩、そんな場合じゃないって!警察連絡して!俺捕まえるから

アヤ:あ、そっか!警察警察

マッハ長田:へへーん!警察ごときに長田が捕まると思ってるのであるか!

亮介:なんだって・・・?

マッハ長田:なぜならわたくし!

マッハ長田:(オペラのように歌って)マッハ4だからぁ~~~~!

マッハ長田:フゥゥゥゥン!

0:高速移動音が部屋にこだまして、犬と鳥と共にマッハ長田が消える。

亮介:消えた・・・

アヤ:そりゃそうか・・・だって、マッハ4だもんね・・・

亮介:速いよ・・・

0:男女、呆気に取られて立ち尽くす

アヤ:でもさ

亮介:うん

アヤ:なんか、良い人だったね

亮介:・・・うん

0:深夜2時半。

0:冷えた部屋が徐々に温まっていく。

0:幕

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