限界OLクマコさん [1:1:0]
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0:都会、オフィスビルの7階。とあるゲーム制作会社の休憩室。
0:時刻は夕方、日も傾き、定時退社の時間である。
0:ビル群が一望出来るガラス張りの窓。手すりにもたれ掛かった女性が1人。
0:あきらかに疲れた様子で街を見下ろしている。
久満子:はぁ・・・
0:大きなため息をつく久満子(くまこ)
0:と、そこにハキハキフレッシュメン、後輩(新卒)が電話をしながら通りかかる。
後輩:はい、はい、かしこまりました。
後輩:設定資料とオファー表、最新のものに書き換えて起きましたので一応ご確認ください。
後輩:あ、そうですね、はい・・・(久満子を見つけて少し気がそっちに持っていかれる)
後輩:はい、じゃあとりあえず、それで訂正したやつまたメールで送っておきます。
後輩:はい、今日中で、はい、はーい
0:久満子に歩み寄る後輩
後輩:久満子さん
久満子:あ、林くん、おつかれー
後輩:お疲れ様です
久満子:今日はもう上がり?
後輩:はい、さっき新作の会議があったんですけど、煮詰まって今日は解散になりました
久満子:新作?
後輩:テンションゲームズの新作、設定が固まらなくて
久満子:ああ、オンラインの?
後輩:ええ、リリース迫ってるのに、まだレコーディングも出来てないんですよ
久満子:そっか・・・お疲れ様
後輩:はい、ありがとうございます
後輩:先輩は?
久満子:私は、もうちょっと残業
久満子:みんなのお給料計算、数字合わなくてさ・・・
後輩:いつもお世話になります
久満子:いいのいいの、林君達が頑張ってくれてるぶん、私たち経理が支えなきゃね
後輩:・・・お疲れ様です
久満子:うん、ありがと(笑)
後輩:でも先輩、いつも残業してません?
久満子:私、仕事遅いからさ
後輩:ええ、そうなんですか?
久満子:うん、それにいっぱい怒られるし、だから、時間使って頑張らないとさ
後輩:そっかあ
久満子:林くんは今日は飲みいかないの?
後輩:ああ、はい、もういいかなって(笑)
久満子:はは、そっか
後輩:なーんか、疲れちゃって、毎日だったし
久満子:後輩大好きだもんね、マネージャー
後輩:ですね、面白い人ですよね
久満子:うん、いい人だよね
0:二人、笑いあって、少しの間。
後輩:あ、そうだ先輩
久満子:ん?
後輩:えっと、ちょっとまってくださいね
久満子:ん、うん
後輩:お昼、買ったんですけど、えっとー
後輩:あった、はいこれ、あげます
0:後輩、バッグの中から缶コーヒーを取り出して渡す
久満子:いいの?
後輩:はい、僕飲まないんで
久満子:なんで買ったの(笑)
後輩:いや、ブラックかと思って押したら甘いヤツだったんです
久満子:ああ、そうなんだ
後輩:あれ、甘いの大丈夫でした?
久満子:うん、すき
後輩:よかったっす
久満子:ありがと
後輩:いえいえ
0:間
久満子:ん?どうしたの?
後輩:あ、すみません
久満子:帰らないの?
後輩:いや、そうっすね
後輩:窓の外、面白いっすか
久満子:え?
後輩:あいえ、外、ぼーっと眺めてるから、何考えてるんだろうなって
久満子:ああ、外ね、うん
後輩:はい
0:間。
久満子:なんかさ、疲れちゃって
後輩:はい
久満子:私、経理の中でも一番先輩なのに、いまだにヒラ社員だし、怒られるし、仕事遅いしさ
久満子:それでも自分の中ではがんばってるはずなんだけどね、やっぱり怒られちゃって
久満子:日々疲れていく自分に、ちょっと満足しながら、明日もどうせ、全然ダメなんだろうなって
久満子:そんなこと考えてたらさ、フロア戻るの辛くなっちゃって
久満子:それで、ここに
後輩:そうなんすね
久満子:あ、ごめんねこんな話、引き留めちゃったね、お疲れさま!
後輩:先輩
久満子:ん?
後輩:ちょっとまっててください!
0:後輩、ダッシュする
久満子:え、ちょっと!
久満子:変な子・・・はぁ・・・
0:後輩、すぐ戻ってくる
後輩:はぁはぁはぁはぁ・・・
久満子:どうしたのそんな焦って
後輩:買ってきました
久満子:ええ?
後輩:ブラックコーヒー、買ってきました
久満子:え、あ、うん
後輩:一緒に飲みましょう
久満子:一緒に?
後輩:はい、カフェインはね、ストレス軽減効果があるんです
後輩:僕のはブラックですけど、久満子さんのはお砂糖入ってますから、元気になりますよ
久満子:林くん・・・
後輩:はい、開けてください
久満子:う、うん・・・
0:二人、缶コーヒーをプシュッと開ける
後輩:乾杯です
久満子:うん、乾杯
0:二人、缶コーヒーを一口すする。
久満子:はぁ・・・
後輩:先輩、寝れてないんすか?
久満子:えっ?
後輩:夜、あんまり眠れてないのかなって
久満子:え、どうして?
後輩:いや、顔、疲れてるなって
久満子:あ、ああこれ・・・
後輩:はい・・・
久満子:やっぱりみんな私の事なんか言ってる?
後輩:いやいやいや、そんなこと・・・
久満子:いいの、言われてるなって思ってたし、私も第三者だったらイジってると思うし(笑)
後輩:先輩・・・
久満子:そうだよねえ・・・
後輩:・・・
0:間
久満子:昔からね、疲れが顔に出やすいタイプなの
後輩:はい
久満子:うん
久満子:中学校の時、インターネットにハマってさ、夜な夜なゲームしながら起きてたのね
後輩:ゲームって、どんなゲームですか?
久満子:ソリティア
後輩:あ、ああ、ソリティアっすか
後輩:え、ソリティアっすか
久満子:うん、ソリティア
久満子:数字をそろえていくっていうのが好きだったからさ、ソリティアの対戦にハマっちゃって
後輩:え、ソリティアって対戦するやつでしたっけ?
久満子:昔あったのよ、ネットでぷよぷよみたいに対戦できるソリティアがさ
後輩:なるほど
久満子:ネットで知り合った友達と、通話しながらソリティアして
久満子:どんどんソリティアがうまくなって、負けて悔しくてもう一回やって
久満子:気づいたら朝で、眠いから学校休んで、お昼に起きて
久満子:コーンフレーク食べて夜までソリティアして
久満子:コーンフレーク食べてお風呂入って、ソリティアして・・・
後輩:コーンフレークしか食べてないじゃないっすか
久満子:他のも食べたよ、チョコワとか
後輩:コーンフレークじゃないっすか
久満子:楽しかったなああの頃は・・・
後輩:そんな徹夜して、体壊さなかったんですか?
久満子:うん、体は壊さなかったよ、コーンフレーク食べてたし
後輩:先輩コーンフレークの事なんだと思ってるんですか
久満子:でもね
後輩:はい
久満子:・・・たまった疲れがさ・・・目に出たんだよね
後輩:目に、ですか
久満子:そう、最初のうちはあんまり気にしてなかったんだけどね
久満子:ある日、鏡を見たらあれ?ってなって
後輩:はい
久満子:目の下にね、クマが出来てるの
久満子:ああ、さすがに徹夜し過ぎたかなって思ってさ
後輩:やめたんですか?
久満子:ん?
後輩:いや、ソリティア、やめたんですか?
久満子:やめなかったよ
後輩:えええ
久満子:頭おかしかったからね
久満子:(キメて)あの頃の私にはソリティアとコーンフレークしかなかったから
後輩:格好よく言ってますけど食生活虫と一緒ですからね
久満子:クマができても、ソリティアを続けたの
久満子:どれだけやっても満足できなかったから、お母さんに言ってパソコンをもう一台買ってもらってね
後輩:まさか・・・
久満子:デュアルディスプレイで平行してソリティアをしたわ
後輩:同時処理!すごいっすね・・・!
久満子:そうして、ソリティアとコーンフレークの生活を送り続けて
久満子:忘れもしない、あれは中学卒業の時
後輩:はい
久満子:さすがに卒業式は出席しようと、朝起きてさ
久満子:歯磨きをして、口をゆすいで、しばーらく触ってなかったバックに手をかけてね
久満子:朝ご飯を食べたの
後輩:ちなみに、何を食べたんですか?
久満子:チョコクリスピーよ
後輩:やっぱりコーンフレークなんですね
久満子:そ、今でもはっきり覚えてる・・・
久満子:窓から差し込む朝日も、お母さんの顔も、久々過ぎて少し感動したの
久満子:でね、コーンフレークにスプーンをつけようとしたときにお母さんが言ったのよ
久満子:「牛乳、買っといたわよ」って
後輩:牛乳、ですか?
久満子:そう、私はストレート派だったから、普段牛乳はかけないの
後輩:そのまま食うこと「ストレート」って言うんですね
久満子:でもその日はね、きっと私が起きてくることを知ってたお母さんが、買っといてくれたの
後輩:牛乳を?
久満子:うん
久満子:「牛乳かけると、おいしいらしいわよ」って
久満子:お母さんの言い方はさ、そっけないようだったけど、あれは私にとっても気を使って、わざわざ買ってきてくれたんじゃないかなあ・・・
後輩:で、かけたんですか?牛乳
久満子:うん、子供なりにお母さんの気遣いがわかったから、申し訳なくて・・・
久満子:冷蔵庫から取り出した牛乳のパックは新品だった
久満子:封を開けたらちょっと生臭い匂いがして、まっしろい牛乳の水面が見えた
久満子:私は、水分を取るのは久々だったから少し不安だったけど
久満子:重い牛乳パックを何とか制御して、
久満子:すこしずつ、チョコクリスピーに、牛乳を、かけていったの
後輩:はい・・・
久満子:そこで、気づいちゃったのよ
後輩:え?
久満子:牛乳に反射してね、朝日に照らされた自分の顔が映ったの
後輩:・・・
久満子:最初はあんなに小さかった目のクマが、5倍・・・いや、10倍くらいになってたの
後輩:10倍・・・
0:間。
後輩:それから、なんですか?
久満子:うん、そう
久満子:彼氏に振られた時、商店街で人に見られた時、会社で悪口を言われた時
久満子:疲れを感じるたびに私のクマは大きくなっていってね、いつのまにかこんなに
後輩:そうだったんですね・・・
久満子:うん・・・
0:間
久満子:やめようかなあ、仕事
後輩:先輩・・・
0:間
0:
0:と、不意にものすごい大きさの爆発音がする。
0:(音響流せない場合は久満子役の方が口で言ってください。)
0:どかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!
後輩:うわああああああああああああ!
0:狭い休憩室に圧縮された爆発音は後輩の鼓膜をこれでもかと震わせる。
後輩:先輩伏せて!!
久満子:え、ええ!?
0:後輩は久満子の頭を庇い、二人でその場に伏せる。
0:地面が振動し、やがてもとの休憩室に戻る。
後輩:びっくりしたぁ・・・
後輩:なんだ今の音・・・
久満子:・・・
後輩:先輩、大丈夫ですか?
久満子:あ、あの、林君、ちょっと近いよ
後輩:あ、ああ、すいません
0:久満子から急いで離れる後輩。顔を赤らめている。
後輩:ご、ごめんなさい。
久満子:あ、いいの、ご、ごめんね?
後輩:な、なんで先輩が謝るんですか
久満子:いや、その・・・
後輩:先輩が謝ることなんてないです!僕が勝手にしたことですから!
久満子:あの、林君
後輩:いえ!なにもいわないでください!
久満子:林君!
後輩:・・・なんですか?
久満子:ごめんなさい
0:久満子、後輩に深々と頭を下げる。
後輩:せ、先輩・・・?
久満子:ごめんね林君
後輩:だから、なんで先輩が
久満子:私のせいなの!
後輩:えっ?
久満子:今の音、私のせいなの・・・
後輩:えっと・・・
後輩:どういうことですか?
久満子:だから、今大きな爆発音がしたでしょ?
後輩:え、ええしましたね
久満子:あの音、私のせいなの・・・
後輩:・・・すみませんちょっと意味が
久満子:そうだよね・・・だから会社では隠してたの・・・
後輩:・・・どういうことですか?
0:間
久満子:会社に入社したころだから、今から5年くらい前だね
後輩:5年・・・
久満子:まだ林君は大学生かな
後輩:いや、5年前は高校生でした
久満子:ああ、そっか
後輩:それで?
久満子:うん、最初はね、少しの違和感だったの
久満子:目の下のクマにすこーし重みを感じてさ
久満子:おかしいなーって思って半年くらいそのままにしてたの
後輩:はい
久満子:で、ある日ね、目がチクっと痛んでさ
久満子:痛いなーって思って鏡で見たらね、目にちーさい針が刺さってたの
後輩:えっ、針ですか?
久満子:うん、針
後輩:だ、大丈夫だったんですか?
久満子:目はね、すこしチクっとしただけでなんともなかったんだけど
後輩:はい
久満子:その針をね、抜いてみると・・・
後輩:はい・・・
久満子:・・・
久満子:なんだったと思う?
後輩:えっ?
後輩:えっと・・・
0:久満子、微糖コーヒーをぐびりと飲む
久満子:槍(やり)だったのよ
後輩:槍・・・ですか?
久満子:そう、ちーさい槍
久満子:ちーさい棒の先っぽに、ちーさい矢じりが付いた、ちーさい槍だったの
後輩:な、なんでそんなのが目に?
久満子:あのね、戦争してたの
後輩:・・・
久満子:私がソリティアをして、広げたクマにはね
久満子:いつの間にか植物が生えて、生物が生まれて
久満子:財産を取り合って、武器を開発して、王様を祀り(まつり)上げて、
久満子:私の目の下のクマにはね、ちーさな村ができてたの。
後輩:そんな、馬鹿な・・・
久満子:そして、右目のクマに出来た国と、左目のクマに出来た国が、戦争をしてたの
久満子:鏡でよーく見るとね、ちーさい人間がいるの
久満子:で、喧嘩したり、セックスしたり、堕落したり、大成したり
久満子:彼らは私のクマの上で、彼らなりの生活を営んでいるの。
久満子:私の知らないところで・・・
後輩:久満子さん・・・
久満子:さっきの爆発はね、右目のクマから左目のクマに打ち込まれた核弾頭だよ
後輩:核弾頭、ですか?
久満子:そう
久満子:入社して5年、私はいろーんな人に叱られて、残業をして
久満子:疲れて、疲れて、疲れて・・・
久満子:そうしているうちに、彼らの領土は広がっていったの
久満子:子供が生まれて、ごはんがたくさん必要になって
久満子:片方のクマだけじゃ足りなくなって、もう片方の国を攻めて
久満子:そのうち取引がされるようになって貨幣が生まれて
久満子:そして、人を殺す兵器が生まれたの
後輩:久満子さんは・・・大丈夫なんですか?
久満子:え?
後輩:え?だって、久満子さんのクマの上で戦争が起きてるんでしょう?痛くないんですか?
久満子:うふふ
久満子:優しいね、林君は
後輩:・・・
久満子:痛いよ
久満子:痛いけどね、もうどうでもいいかなって
後輩:なんでですか!
後輩:久満子さんが痛いのは、僕は嫌です!
久満子:ありがとう・・・
久満子:でもね、林君
久満子:クマの上の人たちは、きっと私よりもっと痛いんだよ
後輩:久満子さん・・・
0:間
久満子:(笑いながら)あーあ、いっそ死んじゃおうかな、こいつらと一緒に
0:長い間
後輩:・・・ん?
久満子:うん?
後輩:ん、あれ・・・
久満子:どうしたの?
後輩:・・・
久満子:林君・・・?
後輩:ちょっと静かにしてください・・・
久満子:・・・
後輩:久満子さん・・・
久満子:うん・・・?
後輩:確認ですけど・・・
久満子:なに?
後輩:久満子さんの目の下のクマには、動植物が生息しているんですよね?
久満子:うん・・・そうだよ?
後輩:久満子さんの目の下の生物たちは、右目と左目で争っているんですよね?
久満子:う、うん・・・どうしたの林君
後輩:し、静かに・・・
久満子:・・・
後輩:そして
後輩:久満子さんは、左右の目の争いが、終わってほしいと思っている・・・
久満子:う、うん、そうだね、うん
後輩:そうですよね・・・うん・・・そうなんだよな・・・はいはい・・・
久満子:えっと、林君・・・
後輩:これだ・・・
久満子:え?
後輩:久満子さん、これです、さっそく取り掛かりましょう、早く
0:後輩、久満子の手を取ってオフィスに連れて行こうとする。
久満子:ちょ、ちょっと待ってよ!
後輩:いいから!早く!
久満子:いやいや、まだコーヒーも残ってるし!オフィス飲食できないし!
後輩:そんなものそこにおいてけばいいじゃないですか!
久満子:もったいないよ!せっかくもらったのに!
後輩:なにいってるんですか!早く!
久満子:ちょ、ちょっと林君!
0:久満子、林の手を振りほどく
後輩:あっ
久満子:ご、ごめん
後輩:いえ・・・
久満子:林君、ちょっと意味わかんないよ
後輩:す、すみません・・・
久満子:ちゃんと説明してよ・・・
0:間
後輩:ゲームですよ
久満子:え?
後輩:久満子さん、ここは何会社ですか?
久満子:え、えっと・・・経理の会社?
後輩:違いますよ・・・ゲーム会社でしょう!?
後輩:テンションゲームズ!
久満子:あ、そっか・・・
後輩:ゲームですよ、ゲーム!
久満子:えっと、ゲーム・・・?
後輩:そうです。
後輩:対局した2つの世界に住む生物たち
後輩:しかしその生物たちはお互いの利益のために攻撃しあっている!
後輩:そして!ここからですよ久満子さん!
久満子:う、うん
後輩:その戦争を俯瞰して見ている神様的存在がいるんです!
久満子:神様・・・
後輩:久満子さん!あなたですよ!
久満子:ええ!?わ、わたしっ!?
後輩:ええ、その世界を俯瞰する神様は、本当は戦争なんて望んじゃあいない
後輩:出来るなら、平和に、仲良く暮らしてほしいんです。
久満子:う、うん、そう思う・・・
後輩:プレイヤーはね、神様になるんです
久満子:えっと・・・つまり・・・
後輩:ストラテジーゲームですよ!右目と左目の民衆を仲良くさせるストラテジーゲーム!
後輩:戦争はなぜ起きてしまうのか、人類の戦争史へのアンチテーゼ!
後輩:キミの頭脳で左右のクマに住み着いた人類の戦争を止めよ!
後輩:目の下ウォーズ、カミングスーン!
久満子:え、え、えぇぇぇぇぇぇえええ!?
後輩:久満子さん、これはいけますよ
後輩:絶対売れます!
久満子:そ、そうかなあ!?
後輩:それにね久満子さん
久満子:う、うん?
後輩:オンラインゲームなんです、これは
久満子:う、うん、次の作品はオンラインだもんね?
後輩:オンラインだもんね?じゃないですよ!
久満子:ええええ!?
後輩:久満子さん・・・
久満子:はい・・・
後輩:オンラインということは、どういうことだかわかりますか
久満子:えっと・・・
後輩:世界中の人が遊ぶんです!全世界の、いろーんな人が!
久満子:うん、そうだよね
後輩:つまり、全世界のいろーんな人から、戦争の解決策を募れるってことなんですよ!
久満子:あっ
後輩:世の中には、頭のいい人がたーくさんいます
後輩:先輩、ソリティアやってた頃、この人強いなーって人いましたよね?
久満子:うん、いた
後輩:この世界には、自分でも想像できないほどすごい人がゴロゴロいるんです
後輩:そんな人に、今の久満子さんの悩みをぶつけることができる!
後輩:オンラインの、楽しい、ゲームとして!!
久満子:林君・・・
後輩:絶対解決しましょう
久満子:・・・
後輩:久満子さんのクマ、僕が消しますから。
0:間
久満子:うん
後輩:(久満子の手を引いて)よし!社長のところ行きますよ!
久満子:ああ、ちょっと林君!
後輩:早く歩いてください!提案書作ってる時間も惜しいので、とりあえずプレゼンは先輩がしてくださいね
久満子:ええええええ!?私がプレゼン!?
後輩:さあ!今日からあなたもクリエイターです!早く早く!
久満子:ちょ、ちょっと、痛いって!引っ張らないでよ!
久満子:林くん?
久満子:はやしくん!?
久満子:林くううううううううううううううううううううううん!
0:どやどや言いながらオフィスへと消えていく二人。
0:休憩室のテーブルの上に残された2つのコーヒー缶。
0:微糖と無糖。
0:窓から差し込む夜の都会の光が、静かな空間に置かれた缶を煌煌と照らしている。
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0:(以下、ト書きのみ)
0:後日、久満子のクマがきれいさっぱり無くなったことは言うまでもない。
0:ー完ー
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